アルカントクァルテット公開マスタークラス

大津でのコンサートの翌日はびわ湖ホールで催されたアルカントクァルテットのマスタークラスのドイツ語通訳のお手伝いをさせて頂きました。

今や世界的にも名高いアルカント。ドキドキしていましたが、メンバーが到着後、全員と挨拶をさせて頂いたら、本当に気さくで楽しく、メンバーの仲が良すぎるくらいで見てるだけでも微笑ましい様子。一気に私の緊張も緩和されました。

今回のマスタークラスは少し特殊で、メンバー4人全員が前半と後半に2人ずつ分かれて指導にあたるというもので、メンバーも公開マスタークラス自体が初めてだとの事で、通訳の私にとってもなかなか大変でした。(O_O)

今回はメンバー3人がドイツ人で、チェロのケラスもドイツ語が堪能なので、レッスンの言葉はドイツ語、という事で私もお手伝いさせて頂いたのですが、やはりドイツ人はとにかく、喋ります。アーティストのインタビューなんかみてても、みんな、止めどなく滝のように喋るんです。なので、昨日は前半のヴァイトハースさんが特にレッスンに熱中するあまり、私が割り込む余地もないくらい喋ってくれたので、とっても大変でした。(T_T)

それでもメンバー全員が、それぞれの豊富なアイデアを受講生に向けて提案してくれ、彼らの音楽づくりを知る事が出来て私自身とても勉強させてもらいました。

ドイツ人の合言葉はやはりsprechen.(話す、喋る)"楽器を弾く"のではなく、"楽器で喋る"という表現をします。特にベートーヴェンは発音が命!くらいの勢いです。そのクリアな滑舌のために、弓の向き、場所、速度、量、全てをコントロールしなければならない、と話していました。私自身ベルリン留学中、ベートーヴェンツィクルスで有名なアルテミスクァルテットにレッスンを受けた時も同じような事を言われました。



メンバー全員お人柄も素晴らしく、チェロのケラスともお話してみたかったので、個人的にとっても魅力のあるお仕事をさせて頂きましたが、私がとにかく魅了されたのは世界的ヴィオリスト、タベア•ツィンマーマン。タベアは一番ゆっくりはっきり、私が通訳しやすいように配慮して話してくれたので、一言一句逃さず聞き取れたのですが、彼女の教え方は比喩が多かったり詩的だったりするので一番使う単語が難しく、何回も知らない単語を聞き返してしまいました。ここで、音楽以外の分野の単語力の無さを痛感。(>_<)彼女は音楽的なキャラクターをとにかく重要視していて、そこからテンポだったり弓の速度などテクニック的な事を考えるという順番が好ましいと言っていました。音程の取り方に関しては、和声的にとる場合とメロディックにとる場合の2パターンあり、音程に関してはクァルテットにとって一生の課題だと話していましたが、それも単純に高いか低いかで聞くのではなく、4人全員の音色、すなわちビブラートの速度や弓の量、速さ、全てが揃っていないと音程が調和しない、と教えてくれました。テンポの話では速度表記を見てテンポを速くしたりするのではなく、音楽的に緊張感があるから、自然とテンポが速くなるなど。またパズルの完成図を知った状態で1ピースずつつかんでいくという表現をしていましたが、曲全体を見渡せた上でワンフレーズずつ注目していく。また、クァルテットは一心同体でなければならず、主体になるメロディーがあっても個々の音を聞くのではなく、常に4人の音を一つの音として聞きながら弾かなければならないなど、タベアの話してくれて事は当たり前のようでなかなか出来ないことを色んな言葉で例えたり表現してくれて、訳す身としては非常にハードルが高かったけれど、彼女の音楽づくりがとても自然で説得力があり、演奏家としてだけでなく、教育者としても本当に素晴らしい方だと思いました。こんな素晴らしい人がベルリンで身近にいて、いくらでも彼女のレッスンや演奏に触れる事が出来たのに!と今更ながら思います。でも、これも全て今になってやっと理解出来るのだろうな、とも思いました。今日のびわ湖ホールでのコンサートを聞けなかったのが残念!(>_<)

今からベルリンに留学する人は是非タベアの音楽に触れてください!羨ましい限りです。

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by nana-cello | 2014-10-04 18:22
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